営業秘密を守るための適合性判定情報記述方法を考えてみましょう。

例えばステアリン酸カルシウム10%を含むポリエチレン配合用滑剤を考えてみます。

処方情報 ステアリン酸カルシウム10%、ポリエチレン90%

法規制 脂肪酸(C=8~24)(ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム塩を含む。)は原材料としてよい。ただしポリエチレンに添加する場合は50%以下とすること

  1. 処方情報そのままを伝達する
  2. 成分を限定せず、例えば「脂肪酸(C=8~24)(ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム塩を含む。)」10%、ポリエチレン90%として伝達する
  3. 添加剤添加量を最大値として、例えばステアリン酸カルシウム最大20%、ポリエチレン最小80%として伝達する
  4. 成分を限定せず、例えば「ステアリン酸カルシウムかグリセロール」10%、ポリエチレン90%として伝達する(注:法規制ではグリセロールは50%以下とされています)
  5. 使用条件として、例えば「ポリエチレンに添加し、他の添加剤は添加しないこと」としたうえで、「この原材料中の添加剤成分の添加量制限は添加量の多寡にかかわらず適合する」と伝達する

直接の顧客における法適合性判定は上記いずれでも、あるいはその他の方法でも可能であり、有効な伝達内容の候補ではあります。一方で、5.は直接の顧客よりも先へ使用条件を伝えられるか、適合性判定できるかを検討する必要があります。4.はもし顧客があとからグリセロールを添加する事業者なら、他の方法なら考える必要がない原材料中の同一成分の影響を考えさせることになってしまいます。 2.、3.は現在の法規制の記述方法や内容が変わらなければサプライチェーン全域にわたって適合性判定が可能にしますし、1.なら規制内容の変化にも対応できますので、差し支えないのであれば最も好ましい内容です。どんな情報伝達を行うかは、営業秘密の保護のみならず、こうした事情をも考慮して選ぶ必要があります。