あなたはB社で、以下のようなサプライチェーンの中でビジネスを行っており、C製品の適合性判定が行えるようB社へ情報伝達することを考えてみます。

  • A製品:A社でP樹脂にX添加剤を添加して製造
  • B製品:B社でA製品にY添加剤を添加して製造
  • C製品:C社でB製品にZ添加剤を添加して最終器具容器包装を製造

すぐに気づかれるはずですが、何のツールもなしにはこの情報伝達は簡単ではありません。まず、A製品の処方をA社に聞いても教えてもらえません。また、自社のプロセスをA社に対して明かしたくないし、ましてC社がどう加工するかわからないのでC製品が適合するかどうかA社に聞いても判定してもらえません。

CSCCCSCの出番です。

A社にA製品について適合性判定情報登録をお願いします。A社はA製品についてP樹脂を最小Pmin%、Xを最大Xmax%含みうるという情報を登録します。

B社であるあなたは、A製品をAmin~Amax%、Yを最大Ymax%含みうるという適合性判定情報を登録します。

C社はB製品をBexact%、ZをZexact%含むという処方情報をCSCCCSCに入力(登録ではなく、システム内に保存されません)すると、CSCCCSCはP樹脂が最小でPmin×Amin×Bexact、Xが最大でXmax×Amax×Bexact、Yが最大でYmax×Bexact、ZがZexactというワーストケースで適合性判定を行います。C社に対し、CSCCCSCというツールを使って適合性判定ができるだけの登録を行ったと連絡してください。

C製品が適合と判定されればこれで情報伝達の目的を達したことになりますが、実製品は適合するはずなのに判定結果は「適合しない恐れがある」となる可能性があります。これはCSCCCSCがワーストケースで判定を行っており、登録された情報の幅が、不適合の領域にまで広がりすぎたことを意味します。

これでは情報伝達の意味がありません。この事態を避けるため、B社であるあなたは、 C社での処方を予想してCSCCCSCに入力(登録ではありません)し、A社が登録した適合性判定情報が製品Cが適合すると判定するに十分かどうかを検討することもできます。もし無意味にXmaxが大きく設定されており、C社での判定で不適合となる恐れがあると考えるときは、A社とよく調整しA社による適合性判定情報を修正してもらってください。もしA社とのやり取りを経てXが全量は溶出しないことを保証できるならば、自社が登録する適合性判定情報としてAmaxあるいはXmax_inAを使うことも可能(この場合、C社による適合性判定の際にA社の登録情報の代わりにB社が保証する情報を使うことになります)です。 同様に、B社であるあなたが適合性判定情報を登録した後にC社から登録の見直しを求められる可能性もあります。真摯にご対応いただくことが、製品Cが適合するとの判定結果を確保し、B-C間の説明を含め取引を成功させる結果に結びつきます。