先の説明で使いました状況を背景に具体的な案件への対応を考えてみます。あなたはB社で、以下のようなサプライチェーンの中でビジネスを行っています。
- A製品:A社でP樹脂にX添加剤を添加して製造
- B製品:B社でA製品にY添加剤を添加して製造
- C製品:C社でB製品にZ添加剤を添加して最終器具容器包装を製造
Y添加量を増やすなど処方を変更し、適合性判定情報を変更する場合
既に供給しているB製品の処方を変更し適合性判定情報を変更する場合は新規登録が必要です。従前の原材料自身のみならず当該原材料を使った製品が市中に存在し、その適合性判定は継続して求められる可能性があり、新規登録ではなく修正で対応すれば、既に供給したB製品についての適合性判定情報が変化し、正しく判定できなくなってしまいます。新規登録し、C社に対しては、これまでの出荷物についてはB製品の従前の名称による登録情報で適合性判定を行い、処方変更後の出荷物については新規登録した製品で適合性判定を行うよう連絡してください。
こうした処方変更については従来からC社に連絡しておられるはずですが、CSCCCSCを使う場合も、C社における法適合性判定や、C社もCSCCCSCにより適合性判定情報を登録するなら、その登録が正しく行えるよう、C社に対して従来とは異なるB製品を供給することになったとの連絡を行ってください。システムではC社が使う原材料である製品Bが、従来の処方のものであるか、変更後のものであるか自動では判断できません。
なお、当然のことですが、成分のチェックだけを行うCSCCCSCでは、会社名変更、製造工場変更など成分に影響しない変更は適合性判定情報を変更する必要はありません。また、入力ミスの修正、新規登録の際の顧客との調整に対応するための修正その他、実際の取引の前における登録変更であれば、修正で対応できます。
A社が適合性判定情報登録を修正した場合
A社が登録を修正した場合は、顧客やさらに先の消費者の法令順守に影響しますのでCSCCCSCはそれを原材料に使った登録について確認あるいは修正を完了するまで川下での判定に使えないよう登録ステータスを変更します。とはいえ、原材料供給者が同じ原材料であるとしているのですから、B社は基本的には修正の必要がないはずです。修正しなくとも、CSCCCSCはC社から判定要求があれば、Bの原材料であるAの成分がXであることやその量をA社により登録された適合性判定情報から展開し適合性を判定します。従って、自身の既存の登録をA社の処方や適合性判定情報を考慮した特別な設定にしていないことを確認するだけで対応は終了します。もし特別な設定にしている場合は、その設定を行った時と同様の検討を行い、必要な修正を行うとともに川下側での対応が必要かC社とともに検討して必要な対応を行ってください。
A社が処方変更し適合性判定情報登録を新規登録した場合
変化の原因が外部にあるとはいえ、原材料が変わる以上、基本的にはB社でも新規登録が必要です。しかし、事業者間の打ち合わせにおいて従来の登録のままで川下での判定に問題ないとA社が保証する場合は新規登録ではなく、既存の登録の中で当該原材料をA社の新規登録案件に修正するだけで済ませることもできます。CSCCCSCはA社からの原材料部分をA社の新たな適合性判定情報をもとに展開し適合性を判定します。
なお、CSCCCSCは、A社が従前の登録を廃止や修正しない限りは従来の登録は有効なまま残っています。必要に応じ登録を抹消してください。
新規登録の際にB製品の登録が新しくなったことをC社へ連絡する必要があることはもちろんですが、A社による保証により修正で済ませた場合も、その対応をC社へ連絡することを推奨します。